SIMGOTの新作イヤホン「EN700BASS」をIC-CONNECTさんより試聴機をお借りできましたので、今回はこちらレビューいたします。

早速ですが、こちらが製品のパッケージ。
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非常にシンプルですね!


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 朱雀がプリントされており、エンボス加工された高級感のある中箱です。


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お目見えしましたEN700BASS!
お借りできたのは三種類のカラバリから 「BRIGHT RED」でした。
他にも「COAL-BLACK」と「THIN INK」の二種類があり、黒を基調としたカラーがあります。 


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ケースは質感も良く、ケーブルを巻いてサッと収納できるちょうど良いサイズです。


付属のケースを開けると、二種類のイヤーピースが入っています。
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Eartip I はよくあるシリコン製のイヤーピース。Eartip II は表面が少しザラッとした感じの加工がされています。
それぞれで音の傾向が違うという事が台紙にも書かれています。

Eartip I は中高域寄りになり、II は低域が強調されるように音が変化します。
特に II だとバスドラの鳴る音域辺りがタイトに定位感がクリアになる印象で、よりBASSとしての音を楽しめるイヤピだと感じました。


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イヤーピースはS/M/Lの3種類。
サイズごとに軸色が分かれています。
触った感じでは、上のシリコン製の方が柔らかいです。
市販されている一般的なイヤーピースと大差は無いと思います。


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 本体のデザインは、カラーが違う意外ではEN700と変わりません。 
メッシュ加工されている奥も赤色が見えるようにキチンと加工されている所が良いですね!
安い中華イヤホンだとこの辺りが手抜きされている事も多いので、こだわりを感じます。


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 本体は前作と比べて大きさそのものは同じですが、設計が見直されており、耳にフィットしやすくなるようにハウジングが一回り小さくなっています。
前作は少し丸みが大きかったため、耳の形状によっては収まりがイマイチだったのですが、EN700BASSではこの点が大きく改善されており、良くフィットするようになっています。
装着してみると、カスタムIEMのような収まり感で、自分の場合は耳に対してフラットにフィットしてました。ハウジングも軽く、付け心地はかなり良いです。

またフィット感が向上していることから、遮音性能も以前より上がってると感じました。外や電車内で使ってみても、回りの音をよく遮音してます。SHURE製のイヤホンに比べると流石に落ちますが、普通以上の遮音性能だと思います。


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 ステム部分にはめ込んであるフィルター部分の穴加工がしっかりされているのが見てわかります。紙やスポンジではないので、この部分が劣化する心配は無さそうです。 


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分岐部分も本体と同じカラーリングで「BASS」とシンプルにプリントされています。
外れないように中はプラスチック素材がしっかり充填されています。


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プラグの根元には「SIMGOT」の文字が。
しかもカラーに合わせて赤色なのがポイント高いですね!

ケーブルは 無酸素銅線の8芯仕様。
2本をツイストしたものを1組として、 4組を更にツイスト処理されています。
ツイストすることで中低域の音質をこだわっているのだと思います。 
ケーブルは柔らかいのに解れる感じも無いので、見た目も含めケーブルの仕上がりがとても素晴らしいです。
耳掛けで使用している事もありますが、タッチノイズは皆無と言ってもよいくらいノイズはありません。


それでは一番気になる音質をレビューしていきます。

最初に感じたのは、解像感の高さと中高域が気持ちよく抜ける感じです。 EN700を踏襲した特徴ある中高域の抜けの良さで、ダイナミックというよりもBAに近い鳴りに感じます。
高域がしっかり出ているのですが、刺さるような感じは無く、ギリギリ聴きやすいところで抑えられてます。シンバルや管楽器の響きも素晴らしく、残響も良く鳴っています。

中域は聴いていて前に出る感覚があります。特にボーカル物を聴くとステージの正面で一歩前に立って歌っているような感じでアピールしてきます。それに対して不快感などはなくむしろ聴きやすくて歌を聴きたい!という時には集中して聴けて歌に没入できます。

そして中高域に負けない低域の量感が「BASS」の個性を更に感じる最たる部分です。EN700には無かった低域の量感とドンッと来るアタック感は気持ちが良いです。
アルミ合金のハウジングで強度もあるため、低域はボワつく事無くしっかりと鳴り、タイトではあるものの過ぎるような締まりではなく、本当に丁度良い感じの低域を出しています。


基本性能はEN700のフラットな音質を踏襲しつつも、低域から中域、特にボーカルの帯域付近まで量感と音圧が少し増えていてパワー感を感じつつも気持ちよく聴ける絶妙なチューニングが全域で施されてるなあと感じました。

ハウジングはアルミ合金のため、音質の傾向は基本的にドライ&クール。ただ、低域は無酸素銅線が効いているのか少しウォームな感じが有ります。暖かくどっしりな低域に爽快な中高域といったところです。全体的に明るい音として感じられます。

音場は広い方です。左右の広さを感じやすいですが、ボーカルが前に出る特徴を持っているので、前後の奥行きも感じやすく、平面的よりは少し立体的な音場を感じられるイヤホンです。

解像感は前作のEN700と同じく非常に高い性能で、同じ価格帯でこの解像感が出せるイヤホンは少ないのではないでしょうか。
定位感については、ガチッという感じではなく、少し甘いです。ただ、高い解像感があるため定位感の甘さが逆に丁度良い感じに聴こえます。
解像感と定位感のバランスが絶妙で、チューニングされたエンジニアの技術力の高さをうかがう事ができますね。この辺りも非常に素晴らしいです。

以上のような音質を踏まえつつどんな曲やジャンルが合うのか、と様々聴いてみたのですが、基本的にはオールジャンル鳴らせるポテンシャルを持っています。
ボーカル物に強いかと思ったのですが、インスト、打ち込み、ライブなど様々なジャンルを良い感じに聴かせてくれます。

それでも相性が良いと感じたのは、やなぎなぎ、LiSA、May'n、amazarashi、凛として時雨、この辺りは特に良いと思います。
明るいサウンドとクールな音を感じやすいイヤホンのため、ダンスミュージックやHouseなども相性がよいです。明瞭な音に打ち込みの無機質感がとてもマッチします。

苦手とするジャンルは非常に少なく、探すのが難しいほどにオールラウンダーなイヤホンだなと聴いていて感じました。
Cowboy Bebop OSTやDave Brubeckのライブ音源といったJAZZ、インスト系も楽しく聴けます。


さて、良い点ばかり挙げていますが、少なからず欠点もあります。

まず使用して気付いたことは、まずケーブルが少し絡まりやすい事。8芯をツイスト加工しているので、どうしても絡みやすいです。外装にチューブを通しているわけではないので、この点は仕方がありません。
 
次にイヤーピースで音が激変します。イヤピを交換して音質や装着感を自分好みに変えるのはユニバーサル機の醍醐味ですが、EN700BASSは音質への影響が結構大きいです。手持ちのイヤピをいくつか試してみましたが、イヤピの穴径が広い方が低域の量感、音場共に向上してより音質を向上できました。変化の幅が大きいと言う点で、定番のウレタンフォームなどもう少しバリエーションを増やして付属していると良かったかなと思います。
イヤーピースの変化に面白さを見つけると、色んなイヤーピースを買ってしまう罠が待っているかもしれません。

また、音質的に不満は少ないですが、しっとり聴かせるタイプではありません。ウォームでゆっくりと聴きたいという方ですと、少し違うタイプだと思います。


欠点らしいところは少なく、完成度の高いイヤホンだな、というのが素直な感想です。
eイヤホン各店で試聴ができますので、少しでも気になったら試聴されることをオススメします。少し長めにじっくりと聴いてみてください。きっとこのイヤホンの魅力にハマると思います。 



<関連リンク>
IC-CONNECT EN700BASS
e☆イヤホン EN700BASS商品ページ